2010.11.25|さおりん
私にとって今年、最も面白かった本です。
「面白かった」という表現は適切ではないかもしれません。
泣きました。
号泣です。
でも、けっこう厚みのある本ですが、
どんどん読み進んで止まらないほど面白かったんです。
この話自体はおそらくはフィクションなんでしょうけれど、
きっとこの作者は太平洋戦争当時のことをかなり時間をかけて取材なさり、
その膨大なデータの中からアイデアを得たり、数々の事実に基づいて書かれたのだろうと思います。
「生きて妻と娘のもとへ帰る」
日本軍敗色濃厚な中、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」と蔑まれたゼロ戦パイロットがいた。
そんな彼がなぜ、特攻に志願したのか...?
60年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりついたとき、
あなたは何を思うだろうか。
戦争の話は、私にとって正直、とっつきにくいというか、
悲惨で陰鬱で、読んでて決してワクワクするものではないし... という思いがあり、
今まで手にすることがありませんでした。
しかしこの本の評判の良さは嫌でも耳に入ってくるので
そのうち興味がわいてきた、というところです。
確かに戦争の話なので、悲惨な場面はいろいろ出てきます。
でも、そこには日本人として知っておくべき事実がたくさんありました。
遠い昔の話、ではなく、
私たちの祖父や祖母の時代の話です。
遠いどこかの世界の話、ではなく、
私たちの国 日本の話です。
そこに生きていたのは、私たちと同じように誰かを愛して、
死にたくないと願っていた人たち。
彼らの想いがリアルに伝わってきて、胸が苦しくなるんです。
そう、これは、恋人・夫婦・親子・友達・仲間、
そして時には敵対する人間同士の
大いなる愛のお話なんです。
それにしても
この本を書いたのが
あの関西のバラエティ番組 「探偵!ナイトスクープ」 の放送作家さんとはとても思えません。
......失礼ですね(^_^;)
いえ、つまりそれほど、泣けるんです。
しかも小説家デビュー作品、らしいです。
素晴らしすぎます。